むし歯になって穴を放置していてもいいんだけど、生活を改めないとやっぱりむし歯は進んでしまって痛みが出だしたらなんとかしてくれーっとなるのが人の常。
そこで登場するのが、神経をとる治療になるのですがこれがくせ者で、話せば長くなるから割愛しますが、ここでは神経ないよりはあった方がよいに決まっているという共通認識で話を進めます。
なぜ?と思う方は直接聞いて下さい。
でだ。神経ギリギリまでのむし歯(または神経まで虫歯菌が感染してしまっている状態)の治療の選択肢として、むし歯を削らないで治す治療法と、徹底的にむし歯を全て!削り取るという治療法2つが存在するのです。
(その中間ラインに位置するのもあるし、放置も一つの選択肢ではありますが、今回はそこも割愛)
これ、考え方が全く違う治療法で、前者が東洋医学的なアプローチなのに対して、後者はガンは全て切除といったような西洋医学的アプローチ。今の歯学界で推奨されているのは当然後者の方法。
一塊の臨床医である私ごときがどちらが優れていてどちらがダメってことは一概には言えないのですが、今自分がわかってる範囲で情報提供させて頂きます。
ドックベストセメントを使う治療とMTAセメントを使う治療。
ドックベストはむし歯の再石灰化を促してむし歯の拡大を防ぎつつ、むし歯部分を削らないで硬くしてしまおうという代物。実際グズグズだったむし歯の穴が、数ヶ月後にはカリカリに硬くなってたりするので、満更でもない様子。
原材料は鉱物系のミネラル豊富で、銅の殺菌力が主な主成分。
残念ながら痛みに対しては即効性がないのが欠点でしょうか。
成功の秘訣は、痛みが出る前に穴を塞ぐ事かと。
かたやMTAセメントは、むし歯をとことん除去。削る過程で神経が飛び出してきてもお構いなし。
ただし、神経を完全に抜いてしまうという事はしないので、神経を残す事には繋がる訳です。
痛みの元凶を根こそぎ取り除くので、案外痛みも消え去ってくれる傾向は強いです。
学際的にエビデンスも沢山だされていますし、原材料も割とシンプルな構成。
実際ドックベストセメントを試してみて合わなくて、MTAセメントを使ったらうまくいったなんてケースもあります。
治癒過程もなにもかも正反対のようなむし歯の治療法。まさに陰陽。
当歯科診療所では両方の治療法をお試し頂けますが、残念ながら厚生省の認可が下りていないので、
保険は適応されません。MTAの方が割高になるのですが、価格はここに書くと問い合わせが増えたりするので、実際にお会いしてからお伝えします。
電話で聞かれても適応かどうかもわからないですしね。
個人的な好みとしては、削らなくて長期的に歯が保存できるなら前者の方が良いかなって思いますが、あなたのその歯にはどちらの治療法がフィットするのでしょうね。
←青く染め出されているところは全てむし歯
↓むし歯を削り取ったところ。
青く染まらなくなるまで
赤い出血は神経の露出を意味します。
←MTAセメントを塗布したところ
この上は別のセメントで覆って様子を見ます
←むし歯でぐずぐずになっている部位ですが
よく洗うだけで削りません
ドックベストセメントを詰めたところ →
経過を見た後に別の材料を用いて仕上げます