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インプラントの思い出

October 21, 2017

 昨今、インプラントを巡るネガティブな記事を目にする機会が増えました。

全国的に手術件数が増えるとともに偶発症の報告も増えているといったところでしょう。

歯科医の杜撰か下手なのか?それだけ酷い思いをしている患者さんがいるということは痛ましい限りです。

 

現実起きている不利益として、出血多量による窒息死から、副鼻腔炎の併発、感覚神経の麻痺、インプラントの感染、早期脱落、はては電磁波過敏、経絡がらみの人体バランス崩壊、でてくるでてくる怖い話。

 

骨削る、血が出る、外科処置ゆえにリスクはつきもの。

そんなリスク背負って、高いお金払ってまでなんでやるの?っていう疑問。

 

噛み合わせがどうだとか、他の歯を失わないためにどーのとか、って理由は色々ありますが、

一番は、歯を失って物を美味しく食べることが不自由になったのに、まだ歯が存在していたあの時に戻ることが出来る!っていうことじゃないでしょうか。わかがえり、よみがえり。。

 

自然療法の概念からは対極に位置しているようなものですが、こちらも完全否定はしないんですよね。

ただし人体に埋め込む訳ですから世界レベルでの一級品を提供させて頂いております。

Astra Tech Implant System  Dentsply社 Made in Sweden(予防大国 )

はっきり言ってお高いです。歴史の浅いmade in ◯◯とは訳が違います。

なので、広告でよく見る1本◯万円以下の激安インプラントとは到底いきません。

 

お金儲けの道具にはしたくないから、一級品をできるだけ安価で提供しているので、責任を負うことを考えると、今となってはさけてもいいオプションなのですが、今まで散々喜んできてもらった経験をしていることもまた事実ではあります。

今日はその中でも特に思い出深いお話を。

 

栃木時代に、肺がんを治療中のSさんと向きあったときのことです。

下顎にはインプラントがすでに入っていたのですが、上顎には部分入れ歯が入っていました。

こちらでは主に、メンテナンスと入れ歯の調整をメインに診させて頂いていたのですが、

ある日奥様に相談されました。

抗がん剤や放射線治療の影響もあってか、主人が毎日飯がまずいと荒れられて困っていると。。

前医では上顎のインプラントは断られたみたいで、本人もそれで納得していたのですが、

入れ歯の接触ですぐ褥瘡(傷)できるし、唾液の出も悪くなっているので、

口の中の違和感が嫌で嫌でしょうがないらしいと。

 

レントゲンを見ると、上顎の骨の状態は悪く、骨を造らないとインプラントはままならない状況。

本数もいる。

一般的にはがん治療中の患者さんにインプラントは禁忌。ましてや骨造成なんて!

 

それでもやりたいというSさんの思いをくみ、主治医と連絡を取りつつ、

タイミングを見計らいながら、一年がかりで上顎の再建治療を行いました。

 

大掛かりな外科治療に耐え、ようやく入れ歯から解放されて仮歯を装着したあの日のこと。

仮歯を装着してからの再診時、あの時の笑顔はいまだに覚えております。

患者さんは飛ぶように喜ばれて、毎日食事が美味しく食べられることにとても幸せを感じて下さいました。

 

最終セラミックスをセットして、約3年の月日が流れたとき、Sさんは天国へ召されました。

たった3年の歳月であったにもかかわらず、ご家族の方には涙ながらにとても感謝されました。

あの厳格なお父さんが、家で小躍りしてましたわよと。。。

 

学術的にも医療倫理的にも間違った治療法であったかもしれません。

結果こそ良かったものの、大変な合併症を起こしていたかもしれません。

それでも私はSさんの笑顔に出会えたことを、喜びに満ちあふれたあの瞬間を共有できたことを、

誇らしく思い続けていきたいのです。

 

 

 

 

 

写真は最近の一例 

 

 

 

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